愛犬を迎え入れるための準備

新しい犬がやってくる。その前に受け入れ準備をしなければならない。

新しい犬にとってまず必要なことはなんだろう。

どこに寝かす? 散歩にはどうやって連れ出す? どんな食事を与える? どんなオモチャを与える? どんな物がいけないの? 

寝場所と寝具  

新しい犬にはまず必要なのは、誰にも邪魔されない場所にある快適な寝床(ベット)だ、子犬用には、箱を横にして中に洗濯できる柔らかい布団を敷くか、あるいは柵の内側に噛みついても丈夫なあて布を貼り付けた物が最適だろう。

成犬ならば丈夫な犬用の寝具か、柔らかい毛布があれば申しぶんない。

すきま風が入らず、家族から遮断されない静かで暖かい場所を選ぶ。犬には疲れたときにはいつでも、誰にも邪魔されずに眠れる場所が必要である。

ごく幼いときには、一日20時間も寝ることがあるからだ。  

旅行用のサークル(折りたたみ式の柵)やクレート(金属製の囲い)も子犬のために買っておけば重宝する。成犬になってからのサイズを考えて購入しておけば、旅行のときは、いつまでも使える。

サークルやクレートがあれば、排泄のしつけがずっと楽になるし、家族の目が届かないときでも困らなくてすむ。

食器、その他  

愛犬には、食事と水を入れる専用の食器が必要になる。食べたり飲んだりするときに鼻や耳を汚さなくてすむように、犬種に合わせて作られた物を用意する。

容器はステンレスかセラミック製の底の平らな物がいい。プラスチック製に比べて衛生面に優れているし、犬がひっくり返すことも少ない。

こうした容器をサークルの中か、ベットの近くに置く。  

また、事前にそろえておくべきものは、首輪、リード(引き綱)、認識票(迷子札・飼い主の氏名、住所、電話番号がかける物)、安全な「カミカミオモチャ」(おしゃぶり)、柔らかい毛のブラシ、シャンプー、リンスを買っておこう。

たとえ成犬でも新しい家になじむまでは、そそうをするのは避けられないからだ。

首輪(カラー)とリード(引き綱)  

犬用の首輪とリードは、あまりにも種類が多くて戸惑ってしまうかもしれない。まずはシンプルなバックル式の首輪(ナイロン製か革製)を用意する。これならいつでも首につけておける。

成犬なら、ナイロン製か革製の首輪とリードをそろえておくとよい。

子犬は休みなく成長して首輪のサイズが合わなくなるし、よくリードを噛むので、ナイロン製のほうがよいだろう。

認識票は首輪に取り付けて、犬が行方不明になった時に連絡をもらえるようにする。  

首輪は、窮屈でない程度に締めるが、すっぽりと抜けるほどの緩いのはまずい。指を2本が入る余裕があるぐらいがいいだろう。

ほかに訓練用や、リードを付けたときに飼い主を引っ張りまわすような犬に使う首輪もある。こういうチョーク、チェーンやピンチ式首輪の使用は、飼い主に十分な経験のある場合か、訓練士の指導が得られる場合にかぎるべきで、使用方法を誤ったり力任せに引っ張ったりすると犬がケガをすることもある。

リードにもかなりバリエーションがあり、革製、布製、ナイロン製が一般的である。

革製がいちばん値段が高いが、長持ちするし手も痛くない。

太いナイロン製は丈夫で安いが、革に比べると柔軟性に欠ける。

子犬には軽いナイロン製の短いリードが最適だろう。 値段も安く、子犬が噛んでくしゃくしゃにしても、すぐにかわりが買える。

延長式リードは握りやすいプラスチックのハンドルがついており、飼い主がコントロールできる範囲で犬に探索の自由を与えられる。引き戻したいときは簡単に綱を巻き込める。

犬のための安全点検  

犬のための安全点検は、子供のための安全点検に似ている。

基本としては、危険物や壊されるおそれのある物を取り除くこと。

感電のショックや、重い器具に頭をぶつけるのを未然に防ぐために、電気コードは抜き、器具などは、届かないところに移動しておく。垂れ下がった電気コードは、子犬にとってこの上ない遊び相手なのだ。

洗剤などの危険な物はすべて安全なところに移す。

殺虫剤のスプレー、ネズミ取りの薬剤、不凍液、それにごくあふれた植物〔ポセンセチア(葉)、ツツジとシャクナゲ(緑色の葉)、シロガスリソウ(葉)、イチイ(針葉・樹皮・種子)、イングリッシュ・アイビー(果実)、マッシュルーム(アマニタ種)、ヒマ(種子)〕でも、犬が飲み込むと毒となるものがある。  

裏庭のある家では、そこから犬が抜け出すおそれがあるので、垣に問題はないか点検して破れた箇所などがあれば修理しておく。

小型の犬なら垣の高さは1.2メートル、大型犬なら1.8メートルあればたいていは出られない。

忘れてはならないのがテリアのように種類によっては土を掘る習性を持った犬がいることだ。基礎部分を固めておかないと垣の下を掘られることになる。

門扉もしっかり閉まるか、小型の犬が扉の下から出入り出来ないかよく調べておく。

噛むという習性  

子犬が3~6ヶ月になると、新しい歯が出てくる。これが痛みをともなうのだが、硬い物を噛むことでそれがいくぶんは和らげられる。

冷凍庫に一晩入れておいたナイロン製の「カミカミおもちゃ」を与えると、さらに効果が増す。

歯の生える時期でなくても子犬は子犬はとにかく噛むのが好きで、オモチャであろうと靴であろうと、キッチンのテーブルの脚であろうとおかまいなしだ。

だから、この噛みたいという自然の欲求を満たす「噛む」オモチャが必要となる。これは顎を鍛え、歯を清潔にするのにも役立つ。

ナイロン製の骨、骨の形のロープ、生皮、毛糸のぬいぐるみ、「消毒済み」の本物の骨などがあれば何時間もそれに熱中する。

ただし飽きさせないためにも、新しい物に買い替えたり、1週間単位で順番に以前のものと取り替えたりするなど目先を変える工夫が必要だ。

家に落ち着く  

初めて家に連れてきた犬は、子犬であれ成犬であれ、とまどいや不安があるはずだ。

家に入れる前に、そのあと専用のトイレになるはずの場所に連れていってみよう。犬がそこで見事、用を足してくれたらほめてやろう。

もしまだこちらの意図がわからなくても、焦らないこと。排泄のしつけは時間と我慢が必要なのだ。  

家の中に入れたら、一つの部屋だけになじませるようにする。好きなようにかぎまわらせて、その部屋に慣れさせ、専用のベットと食器を示してやる。

努めて優しく接し、勇敢だとか、お茶目だとか、カッコイイとか、小さなことでもほめてやる。この時期は、声を荒げたり罰を加えたりしてはいけないのだ。

初めの数日は、恐怖ではなく信頼を植え付けるべき時なのだ。新しい環境に慣れてから、たっぷり時間をかけて訓練すればいいのだから。  

犬が家に慣れるまでは、客を家に招待しないようにする。まずは飼い主とその家族になじませて、他人に紹介するのはその次の段階だ、子供たちにも、犬には優しく静かに接するように教えとく。

子犬の場合は特に気をつける。子犬はオモチャではないのだから、休んでるときや食事の時に邪魔してはいけないことを子供に十分わからせる。

ほかのペットとの顔合わせ  

すでに家族の一員となっている先輩格のペットとの引き合わせは、飼い主のが見守る中でゆっくりと行なうこと。

先輩の犬や猫たちは、新しく来た子犬をねたむものも多いので、子犬を安全なサークルの中に入れていないときは、ペット同士だけでおかないほうがいい。

初めはサークルの外から新入りのにおいを嗅がせる。先輩ペットには最大の関心を示してやり、地位が侵されたなだとは決して思わせないことだ。

また「餌の奪いあい」を防止するために、お互いなじむまで餌は別々に与えるようにする。  

最初の数日間は、夜になると犬は、ホームシックになって寂しがることが多い。

甘え鳴きをしたり高い声を出したりするが、そのたびにそばに行ったりはしないこと。子犬には母犬との触れあいのかわりに、チクタクと時を刻む時計と湯たんぽを布にくるんで、ベットに入れてやれば落ち着くことがある。

子犬のベットやクレートを夜だけ飼い主の寝室に入れてやるのも家になじませるのに有効だ、という人は多い。

遊び  

たいていの子犬は、仲間と遊ぶのと同じように飼い主とも遊びたがる。彼らは盛んに跳び上がったり、追いかけたり、うなったり、噛みついたりする。

遊びは子犬の正常な社会的発達のために必要がある。子犬が噛みついたら「ダメ!」と叫んで顔をそむける。

首輪とリードになじませる  

子犬の場合、首輪はすぐにつける。首輪を怖がる子犬は多いので、初めて首輪を付ける時には好きな食べ物を与える。

子犬が首輪やリードに慣れるには多少の時間がかかるので、初めのうちは短時間にして、徐々にこの新しい装身具をつける時間をのばしていく。

数日たつと犬は首輪を気にしなくなり、数週間もたてば首輪をはずすと、反対につけてもらいたがるようになる。

ただしクレートに入れるときは首輪をはずしてやってもいいだろう。首輪がクレートの針金に引っかかることがあるからだ。  

しばらくのあいだリードを引きずって家の中を歩かせておくと、リードをこわがらくなる。

初めて散歩に連れて行くときは、犬を引っ張らずに犬の行きたいところへこちらがついていく。

それからリードをつけた状態で後からついてこさせ「リードに従う」ことを教えるのである。

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