犬の病気
犬の病気
愛犬のことは飼い主がいちばんよくしっている。
だから、元気がないな、病気かな、と思ったら、ためらわずに獣医に相談しよう。
犬は貴方だけが頼りなのだから。
肥満症
肥満症は、犬の栄養障害の中で最も多い病気である。甲状腺機能低下症のような新陳代謝異常も肥満の原因のひとつだが、ほとんどの場合、食べ過ぎか運動不足が原因である。人間と同じように、太りすぎると皮膚炎や関節炎、糖尿病、心臓病などの病気にかかったり、その症状が悪化したりする。
愛犬が太り過ぎかどうかを調べるには、リブテストが一番簡単だ(下記参照)。太り過ぎかなと思ったら、獣医に効果的な減量プログラムを組んでもらうのもいいだろう。
リブテスト
両手を犬の体の側面にまわして肋骨を探す。肋骨にはっきり触れなければ太り気味だ。次に、上から犬を見る。健康な犬はウエストラインがはっきりしている。はっきりしていなければ太りすぎ。愛犬が太り過ぎかなと思ったら獣医に相談し、安全で効果的な減量方法を教えてもらおう。
一般的な減量プログラムでは、カロリーの摂取量を減らすと同時に運動量を増やす。カロリー摂取量を減らすには、食事の量を減らす(通常は、現在の摂取量の60%)か、低カロリーで食物繊維を多く含む特別食を与える。1日の食事を2から3回に分けて、犬があまり空腹を感じないようにする。食事のあいまにおやつを与えていたなら、生の人参やサヤエンドウなど低カロリーの物に変えよう。
規則的な運動は、減量のためには欠かせない。まずは5分~10分の短い運動を繰り返すことから始めて、最終的には毎日30分元気よく遊んだり、活発に散歩させたりさせよう。犬か飼い主のどちらかが疲れを感じたら、必ずペースを落とすか立ち止まって休息する。毎週または2週間に1回リブテストを行い、体重を量って犬の状態を観察する。きちんと実行すれば、驚くほど早く体重が減量するだろう。
犬の体重の量りかた
犬の体重を量るのには、犬を抱え上げて体重計に乗るのがいちばんだ。合計体重から貴方自身の体重を引けば、犬の体重がわかる。犬が小型犬か子犬であれば簡単だが、大型犬の場合は正しく持ち上げるように注意しなければならない。かがんで犬を両手で抱え込み(胸とお尻から抱える)、下半身全体を使ってゆっくりと立ち上がる。
咳とクシャミ
どんな犬でも咳やクシャミをするが、回数が多かったり、次の日になっても止まらなかったら、獣医に相談しよう。クシャミが続くようなら、アレルギーが原因かもしれない。
また、クシャミとともに一方の鼻の穴から膿のような鼻汁が出たら、異物を吸い込んでるか、鼻に腫瘍ができている可能性がある。
健康な犬が急に咳をしだしたら、ケンネルコーフの疑いがある。これは人間で言えば風邪にあたり、普通、喉が詰まったような咳をし、少量の痰を吐く。飼い主は犬が喉に何かを詰まらせたと思い込むことが多い。咳は2週間続くこともある。
特に夜に咳が続く場合は、心臓が弱くなっている可能性もある。犬は年齢とともに心臓が弱ることが多く、心臓の機能が低下すると、肺に液体がたまって腹部におよぶこともある。そうなると咳に加えて、呼吸が速くなったり困難になったりという症状があらわれ、腹部が膨らみ、運動をしたがらなくなる。
重い心臓病の場合には、歯肉や舌が青紫色になり、気を失うこともある、心臓病は、命にかかわる病気だが発見が早ければ薬で治療できる。
老犬の咳は、気管支炎によることが多いが、この場合は薬で簡単に治療できる。小型愛玩犬の幼犬には気管虚脱が原因の咳が多く見られる、これは気管に遺伝的な欠陥があるために起こり、重傷の場合もある。気管虚脱の程度が重傷であれば、欠陥を矯正するために外科的手術が必要なこともある。
皮膚の異常
獣医の診察室で最も多く見かける犬の病気は皮膚の異常であり乾燥肌などの軽症のものから、重い感染症状などの重傷のものまでさまざまだ。皮膚病にかかると、かゆがる、フケが出る、毛が抜ける、皮膚が赤くなる、悪臭がする、発疹が見られる、しこりができるなどの症状がみられる。
犬がひどくかゆがって、皮膚をかいたり、こすったり、なめたりすると、感染症にかかるおそれがある。ある一定の場所だけなめるときは、「ほっと・スポット」と呼ばれる痛みの強い感染症にかかっている可能性がある。
また、ノミなどの外部寄生虫がかゆみの原因になっていることも多い。愛犬が皮膚をかいていたら、まずはノミを探そう(下記参照)。ノミがいなければ、獣医に相談する。また冷水浴はかゆみをやわらげる効果がある。
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愛犬家の敵「ノミ」 |
フケは犬が皮膚をかいて出ることもあるが、乾燥肌が原因のことも多い。特に冬の時期は、乾燥肌の犬には必須脂肪酸を含む植物を与えるとよい。たとえば、ヒマワリ油、コーン油、ピーナツ油、などが適している。フケとともに、毛づやが悪くなる、毛が脂肪で固まる、悪臭がするなどの症状がみられたら、脂漏性皮膚炎の可能性がある。獣医に相談すれば原因を突きとめて、適切な治療をしてくれる。
脱毛は、外部寄生虫(ダニ)や輸鮮などの菌類感染、ホルモンバランスの崩れなどが原因で起こる。さいわい、犬の脱毛はたいてい治療が可能である。
皮膚が赤くなる、発疹が出る、ときには悪臭やかゆみをともなうなどの症状がある場合は、膿皮症という感染症の疑いがある。治療には抗生物質を使い、獣医が処方する特別な薬浴を行う。
犬の皮膚の表面あるいは内部にしこりがあるときは、嚢胞、腫瘍、膿症などの可能性がある。嚢胞は普通、痛みがなく、流動性の物質が中に詰まっていることが多い。腫瘍は大きさも形も様々だが、変わった色や形のもの、急に大きくなるのは悪性の疑いがある。膿症(局部感染)は痛みをともない、場所によって硬さは異なる。しこりが見つかれば獣医の診断を受けよう。
シラミ
犬に噛みつくこの虫が皮膚をはいまわるのは目で確認できる。卵は白く、毛の中に簡単に見つけられる。愛犬が体をかいていて、成虫か卵が見つかったら、獣医に安全な殺虫用シャンプーを教えてもらおう。犬につくシラミは簡単に退治でき、人には移らない。
マダニ
マダニに噛まれても、普通それだけでは皮膚病にかからないが、ライム病やダニ麻痺症などに感染する恐れがある。
愛犬を芝生の上や森の中を走りまわった後は、ノミ取り用のクシを使って、注意深くマダニがいないかチェックする。マダニは平たく茶色っぽい種のように見えるが、血を吸うと小さなブドウぐらいの大きさまで膨らむ。
まず、消毒用アルコールでマダニを殺す。ピンセットをできるだけ皮膚に密着に密着させてマダニをつかみ、つぶさないようにゆっくりと引き出す。ノミとり用の製品の多くはマダニも駆除できるが、特にマダニ予防用に作られた製品もある。詳しいことは、獣医に相談しよう。
その他のダニ
非常に小さな外部寄生虫で、皮膚の内部に生息する。なかでもニキビダニとヒゼンダニは疥癬を引き起こす。ニキビダニは犬の毛包の中に必ず見つかる。犬の免疫力が衰えているときに、ニキビダニが増殖し、脱毛が起こることがある。たいていの場合は、自然に治るが、拡大して重い感染症につながるケースもみられる。
ニキビダニと違って、ヒゼンダニは感染力が強い。皮膚の表面に穴を掘って寄生しひどいカユミやカサブタ、脱毛を引き起こし、特に肘や耳の部分に多く見られる。人間が噛まれることもある。
愛犬の毛の抜けたり皮膚が炎症を起こしていたりしたときは、獣医の診察を受けよう。獣医の一部をとって顕微鏡で調べ、原因となっているダニを突きとめてくれる。診察にもとづいて、寄生虫駆除剤の投与、薬浴などの治療をしてくれるだろう。
目
犬の目は人間の目によく似ておりどの部分をとっても、視力に影響をおよぼす病気にかかる危険性がある。目ヤニが出る、目が赤くなる、痛みを感じるなどがよく見られる症状である。涙を流していたり、目を細めていたり、目を閉じていたりするときは、痛みがあると考えられる。
犬が目ヤニを出したり目を赤くしたりする場合は、結膜炎が原因であることが多い。結膜炎になるとまぶたの裏側の結膜が赤く腫れ、カユミを感じることもある、目ヤニは無色透明か黄色で、粘りの強い場合もあれば弱い場合もある。結膜炎は、アレルギーや環境汚染のような刺激、細菌やウイルスの感染などによって起こる。炎症によって目頭にある涙管がつまることもあり、そうなると涙は下まぶたから溢れて頬に流れ出す。結膜炎は、患部に塗る軟膏か目薬を獣医からもらい治療すれば、簡単に治る。犬の目ヤニをとるには、清潔な綿を丸めてぬるま湯にひたして優しくふいてやる。
涙の量が少なすぎる犬には、目が赤くなり、ときに緑色を呈する粘りけの強い目ヤニを出すという症状がみられる。この病気は「ドライアイ(乾性角結膜炎)」と呼ばれ、治療しなければ角膜に回復不可能な障害を残し、失明の恐れもある。獣医に相談すれば、目が乾かないようにする薬を処方してくれる。
目が赤くなり、痛みが生じ、目ヤニが出るのは、緑内障が原因のこともある。緑内障は眼内圧の上昇によって起こり、この病気になると多くの犬は痛みのために元気がなくなる。緑内障にかかると短期間のうちに失明に至ることもあるので、愛犬に緑内障の疑いがある場合はすぐに治療しよう。
白内障は水晶体が濁る病気で犬にはよく見られ、目の中心部が白く見えるのが特徴である。先天性のものもあれば、老化によるものもあり、糖尿病が原因のことが多い、白内障が進行すれば視力障害が起きるので眼科の獣医に除去してもらう必要がある。しかし水晶体の濁りは、自然な老化現象の範囲といえるものもある。これは水晶体硬化症と呼ばれる物で、犬の視力にそれほどの影響をおよぼさない。
網膜の病気も視力障害をもたらす。進行性網膜萎縮(PRA)は多くの犬種に見られる先天性の病気で最初は夜に目が見えにくくなる。残念ながら最後は全盲になり、現在のところは治療法はない。しかし、視力障害をもたらす病気はこれ以外のものは、治療が可能である。愛犬の視力に異常が見られたら、すぐに獣医の診察を受けること。
犬はネコの爪や木の枝で角膜を傷つけることがよくある。角膜に傷を負うと、犬は目を閉じて激しく涙を流す。治療せずに放っておくと、傷ついた部分が炎症を起こして漬瘍となり、失明する恐れがある。
また、まぶたに生まれつき異常があるために角膜が傷つくこともある、異常には、「まぶたが眼球側に巻き込まれている」「外側にめくれ上がっている」「まつげが眼球側に向かって生えている」などがある。しかしこういう異常は、たいてい手術で簡単に治せる。
口
普通、犬は虫歯にならないが、3歳になる頃には80%以上が歯周病(歯肉および歯を支える組織の感染症)にかかる。歯周病は細菌が繁殖し歯に歯石や歯垢が付くことから始まる。そして歯肉及び歯を支える組織が感染により退行し、歯が抜け落ちる。放置すれば感染が拡大し、ついには肝臓や心臓まで侵される。
歯周病は定期的に歯のケアをする(下記参照)ことで防げ、早い段階で治療すれば元の状態に戻せる。歯の異常には口臭で気づくことが多いが、そのほかにも「よだれを垂らす」「食べたがらない(特に固い物)」「鼻汁が出る」「顎や頬がはれる」などの症状が出る。健康な犬は息は臭くない。口臭は歯の異常が原因であることが多いが、ほかに糖尿病や肝臓病や腎臓病なえども考えられる。
歯周病の予防
以下の手順に従えば、簡単かつ確実に愛犬の口内を清潔にし、口臭をなくせる
1.グルーミングの際に、必ず歯をチェックする。少なくとも週に2回、ガーゼかタオル、歯ブラシを使って歯を磨く、人間用の歯磨きでなく、犬用の歯磨きを使うこと。
2.年1回、獣医に歯を診てもらう、歯石がたまりすぎていたら、除去してもらう必要があるかもしれない。除去は普通、麻酔をかけて行われる
3.愛犬には毎日ドライフードや硬い犬用のビスケットを与え、硬いオモチャや骨を噛ませる
耳
犬の耳は、耳介、外耳道、中耳、内耳の4つの部分から成り、どの部分も病気にかかりやすい。耳介は負傷により大量に出血する事がある。耳介に傷を負ったら、傷全体をタオルで強く抑え、頭を振らないようにして、できるだけ早く獣医に見せること。特に老犬によく見られるのだが、耳介がブヨブヨと晴れ上がる耳血腫と呼ばれる病気がある。耳血腫は頭を振りすぎることが原因と考えられており、できるだけ早く獣医の診断を受けることが望ましい。治療が大幅に遅れると、犬はよけいな痛みを与え耳が変形してしまうこともある。
犬の耳の病気で一番多いのは、おそらく外耳道の炎症(外耳炎)だろう。外耳炎をわずらっている犬は、頭を振り、炎症を起こしている耳をかいたりこすったりする。耳を触ると痛がり、耳汁が出て悪臭がする。
特に子犬では、耳ダニが外耳炎の原因になることが多い。一胎子全部が耳ダニに感染してしまうこともよくあり、カユミがあり、色が濃く砂が混じったような膿が出る。綿を丸めた物に鉱油を2~3滴つけて拭けばこの膿はきれいにとれるが、耳ダニを完全に取り除くには薬で治療しなければならない。
外耳炎は細菌や酵母菌に感染することでも起こる。さらに、アレルギーや脂漏性皮膚炎も関係することがある。耳が長く垂れている犬やよく泳ぐ犬は、耳の感染症にかかりやすい。長く垂れた耳の通気をよくするには、耳介や耳の穴の毛を短くする。愛犬が泳ぐのが好きなら、酢剤と消毒用アルコールを同量ずつ混ぜ合わせて溶液を2~3滴、水泳のあとに耳管にたらして耳管を乾かすといい。耳の異常が2日以上続いたら、獣医に相談しよう。
外耳道の感染が中耳や内耳に広がると、「神経に異常がでる」「頭を傾けるようになる」「平均感覚がなくなる」「耳が聞こえなくなる」などのより重大な症状が出てくる。障害が残らないようにするには、すぐに治療を受けさせること。耳が聞こえないのは遺伝によることもあり、全身が白または白が基調の犬に多い。耳が遠くなるのは老犬にもよく見られる。
